甘いペットは男と化す
なんとなくかぶった、昔のケイの顔。
子犬のようにあたしをすがっていた寂しげな瞳。
ケイはずるい。
何も覚えていないくせに、こうやってあたしが好きだったことを利用して心を引き留める。
別人だと思い込んでも
所詮同一人物であることは変わらなくて……
「お開きまで、離すの禁止だよ」
「……何、それ……」
あたしの左手を包み込むように握り締めるケイの右手を
振りほどくことなんて出来なかった。
「アカリ」
「……」
久しぶりに呼ばれた、自分の名前。
ああ、なんだか……
泣きたくなるほど嬉しい。