甘いペットは男と化す
「くっそっ……腹立つっ……」
オフィスビルを出て、悔しそうにケイが言葉を吐き捨てた。
その顔は悔しさで滲み溢れていて、声をかけるのもためらわれる。
ケイが悔しいと思っているのは、きっと自分が今まで頑張ってきたから。
お父さんに出された条件を果たそうと、必死にこの1か月走り回ってきたから。
だからそれを、中途半端に扱われ、
さらに追い打ちをかけるかのように沙樹さんのことを口に出され……
「……」
タクシーで隣に寄り添いながら、重ねられている手をそっと握り直した。
何も言わずに、自然と着いたのは、あたしの部屋。
部屋に入るなり、ケイはぎゅっとあたしを抱きしめてきた。
「ケイ……?」
「二人で……駆け落ちしようか……」
それは、突然の言葉だった。