甘いペットは男と化す
 




「………何あれ…」


マンションの前に着くと、不釣り合いな車が一台停まっていた。

何の変哲のない住宅街。
ごく普通のマンション。

なのに、明らかに高級感あふれる黒塗りの車。


なんとなく予想がついてしまって、嫌な予感がしつつもその車へと近づく。

そして案の定、あたしが真横を通り過ぎようとしたとき、



「こんばんは」

「………こんばんは」



窓が開くのと同時に交わされた挨拶。

そこには、ケイのお父さんがいた。



「ちょっと話があるんだが」

「……分かりました」



いい話だなんて思ってない。

だけど逃げたくない思いから、あたしはその言葉にうなずいた。
 
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