甘いペットは男と化す
 
悔しさがにじみ出た顔……。

ずっと自分が、勘違いして最愛の恋人だった人を恨んでいたこと。
それがあえて、自分に隠されていたものだとしても、真実を知ってしまった今、きっと複雑な想いになっているに違いない。


ケイの心が、相内先生へ戻っていくんじゃないかと、少しだけ不安になって、ケイの一歩後ろを歩いていた。

新幹線のホームに着いて、ぴたりと止まった足。


どうしたのかと、顔を上げようとした瞬間……



「ケイ……?」

「不安になりすぎ。バカ」

「…っ……」



まるであたしの心を読んでいるかのように、あたしを強く抱きしめた。


「何泣きそうな顔してんの」
「だ、って……」
「さっき俺が言ってたこと、聞いてた?」
「……うん…」



(今の俺が心から必要としているのは、アカリなんだ)



「あれが俺の本心。
 どんな事実を知ったとしても、今の俺が必要としてんのは……好きなのは……アカリだから」

「……っ」



不安がさーっと溶けていく。

ケイの言葉が魔法の言葉のように……。
 
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