婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
私は会議室を出て、非常階段のドアを開けた。
階段に腰掛けながらゆっくりと呼吸を整えた。
まだ 手も震えるし、ズキズキと胸も痛む。
圭司を信じるって、昨日誓ったばかりなのに…
早くも私の心は揺らいでいた。
松井くんにどんな事を言われても、強く跳ね返す自信はあったのに…。
こんなに動揺しているのは、私が目を背けていた現実を突きつけられたせいだ。
昨日 芹香さんを見たとき、私も思っていた。
でも 付き合うタイプがみんな同じようになることだってあるだろうし、芹香さんほど私は綺麗じゃないからと思うようにしていた。
きっと この現実を受け入れるのが怖かったから考えないようにしていたのかもしれない。
ああ もうすぐ 仕事に戻らないといけない。
私は、立ち上がり深呼吸してドアを開けた。
化粧室でメイクを整えてから、ブライダル室へと戻った。
私を見つけた松井くんが、早速私のところへとやってきた。
「さっきはごめんな…。大丈夫か…?」
「うん 室長の件は…?」
「それは嘘…。悪かった…。」
「そう…。」
私は素っ気なく返して、その場を離れた。
午後は、紺野さんについて、お客様との打ち合わせの席に同席した。
向いにすわる二人は20代前半の初々しいカップルだった。
紺野さんの説明に二人とも真剣に頷いている。