わたし、式場予約しました!
「あら、今日はもう帰るの?」
就業時間早々に帰ろうとした瑠可に、近くを通りかかった麻美がそう言ってきた。
「やっぱり、もう一回、ボルダリング行ってみようかと思って」
「そうなの。
一真と出かけるのかと思ったわ」
その突き放したように言い方に、
「……出かけちゃいけないんですか?」
と上目遣いに訊くと、
「あんたはすぐに情が移るから」
と言う。
「でもまあ、和歩とくっつかないのなら、一真くらいしか、あんたに言い寄ってくる男は居ないか」
「先輩、それはどういう意味で……」
と苦笑いして訊くと、
「そんな度胸のある男はあまり居ないという意味よ。
背後霊みたいな和歩が居る限りね」
あの男、なんだかんだ言いながら、ただ側に立っているだけで、瑠可の恋路を邪魔しているようなもんだと言う。
「でも、おにいちゃんも、もう私の側からは居なくなりますよ。
そうだ。
おにいちゃんとゆっくりお話できました?」
できたできた、と言った麻美は、
「そして、よくわかったわ。
私はあの男とは、結婚しなくて正解だったってことが」
と言い出す。