吸血鬼の翼
夢でも何でも良い…
形はどうにせよ、また会えたのだから。
それに誰も居ない空間に2人が現れた事によって不安定だった気持ちが落ち着いて来た。
「…イルト!ラゼキ!」
「…………。」
距離のある場所から大きな声で呼んでみる。
しかし、2人に反応はなく返事が返って来ない。
聞こえてないのかと美月が2人の居る所まで走ってみるも、距離は一向に縮まらない。
そればかりか、2人と美月の距離は徐々に開いていく。
「…何で?…其処へ行けないの?」
私は夢ですら、貴方達へ近づけないとでも言うの…?
こんなの、ないよ…
足が竦んで動かない。
それでも、イルトとラゼキは美月の前から消える様に遠ざかっていくばかり。
「待って、聞こえないの!!?イルト!ラゼキ!私は此処に居るよ!!」
精一杯、叫んで伝えようとした時には2人の姿は何処にもなかった。
『かわいそうだね』
「!!」
ふと後ろから声がしたので振り返ってみれば、先程見ていた映像の女の子がそこに立っていた。
何時の間にと戸惑いや疑問を抱いたが不思議と驚きはしなかった。
何でだろう…
私…この子を…
直に見てみると幼く丁度、小学生に上がるくらいだろうか。
焦茶の長い髪に虚ろな瞳。
その女の子の瞳は真っ直ぐと美月を捕らえる。
まるで、見えない糸に縛り付けるみたいに。