吸血鬼の翼



夢でも何でも良い…


形はどうにせよ、また会えたのだから。
それに誰も居ない空間に2人が現れた事によって不安定だった気持ちが落ち着いて来た。

「…イルト!ラゼキ!」

「…………。」

距離のある場所から大きな声で呼んでみる。
しかし、2人に反応はなく返事が返って来ない。

聞こえてないのかと美月が2人の居る所まで走ってみるも、距離は一向に縮まらない。

そればかりか、2人と美月の距離は徐々に開いていく。

「…何で?…其処へ行けないの?」

私は夢ですら、貴方達へ近づけないとでも言うの…?

こんなの、ないよ…

足が竦んで動かない。
それでも、イルトとラゼキは美月の前から消える様に遠ざかっていくばかり。

「待って、聞こえないの!!?イルト!ラゼキ!私は此処に居るよ!!」

精一杯、叫んで伝えようとした時には2人の姿は何処にもなかった。

『かわいそうだね』

「!!」

ふと後ろから声がしたので振り返ってみれば、先程見ていた映像の女の子がそこに立っていた。
何時の間にと戸惑いや疑問を抱いたが不思議と驚きはしなかった。

何でだろう…

私…この子を…

直に見てみると幼く丁度、小学生に上がるくらいだろうか。
焦茶の長い髪に虚ろな瞳。
その女の子の瞳は真っ直ぐと美月を捕らえる。

まるで、見えない糸に縛り付けるみたいに。



< 142 / 220 >

この作品をシェア

pagetop