吸血鬼の翼
『だれも、みづきなんて“ひつよう”としてないんだよ』
そう言葉を発した女の子の瞳は変わらずに虚ろだった。
美月の額からは汗がじんわりと滲む。
私は必要とされてない?
『だから、みんな‥はなれていっちゃうんだ』
イルトもラゼキも…皆、私を置いていく
女の子の声が美月の頭の中で反響して痛いところに染みる。
思わず、その場から後退りをして首を激しく左右に振る。
「や‥めて、違う!聞きたくない!何でそんな事、言うの!」
美月は涙声になりながら、女の子から放たれた言葉を否定する。
それにこの子と居るだけで頭が割れる様に痛い。
近づきたくない!
更に数歩、後ろに下がった美月の足は震えていて覚束ない。
「貴方は誰なの‥」
美月は未だ正体不明の女の子にそう問いかけた。
すれば女の子の口角がつり上がる。
『わたし?』
クスクスと嘲笑気味に笑う女の子に益々、恐怖が募った。
一体、この子は誰?
女の子が口を開こうとしたその時、真っ暗だった空間に美月と女の子の間から眩い程の光が発生した。
「な、に…眩しい!」
『ばいばい、またね』
強い光に片手で両目を覆うがそれでは間に合わず、チカチカと美月の視界を邪魔する。
漸く慣れた頃には目の前が光に包まれていて、女の子の姿が朧気になっていく。
そんな周りの変化に思わず、美月は女の子へ手を伸ばした。
「待って…!まだ私…」
必死になって手を伸ばすが、その手は遂に女の子へ届く事はなかった。