吸血鬼の翼
「待って…!」
勢い良く手を伸ばした先には真っ白い天井が視界に現れた。
それに驚いて、上体を起こすと思わず、辺りを見回した。
此処に存在するのは間違いなく自分の部屋。
「…夢…?」
ドクドクと激しく高鳴る鼓動に動揺しつつも、夢だと分かった美月はホッと胸を撫で下ろす。
漸く落ち着いた所で、又もや美月は今の状況が変だという事に気が付く。
やけに寝台の面積が狭い様な…
疑問に思いながら、何気なく隣に目をやると新緑の髪が目に入ってくる。
まさかと美月は嫌な予感を感じながら、掛け布団を少しだけ捲ってみた。
そこには、気持ち良さそうに寝息を発てている少年が美月の隣に居る。
「な、ななな何で…!?」
今の状況をハッキリと理解した美月は先程の事等、すっかり忘れて忽ち顔が真っ赤になった。
目覚めていない相手に吃(ども)り、美月は自分の身を必死に壁に押しやり慌てる。
「……ん…?」
掛け布団を捲った事で寒さを感じたのだろうイクシスの重い瞼が微かに動いた。
そして、ゆっくりと目を開ければ顔を真っ赤に染めた美月の姿が目に入る。
「…おはよう、…みづき…」
「…おはようって違う!!何で一緒に寝てるの!!?」
美月は掛け布団を自分の身に寄せながら、人差し指をイクシスに向けて説明を求める。
イクシスの意識はまだ、ぼんやりとしている様子でただ美月を見つめた。
きっと、何言ってるんだろうとしか思ってないのだろう。
そんな反応に1人だけ慌ててる美月は虚しいやら、恥辱心やらでいっぱいだった。