吸血鬼の翼



兎に角、高鳴る鼓動を必死に抑えて今の状況を緩和しようと美月は窓の外に目をやった。

するとすっかり朝日が顔を覗かせて光が窓から差し込んでいる。

「…え、嘘…もう朝になっちゃってる…」

目まぐるしく起こる状況に混乱しながら、今度は青い表情を浮かべる。
そして、美月は構わずにイクシスを通り過ぎて寝台から降りる。

掛け布団から出たと同時に美月は昨日の服のまま、寝ていた事が分かった。

よっぽど疲れていたんだなと頭の隅で思っていたが思考は次へ忙しなく移る。

小さなテーブルに置きっぱなしにしていた携帯を素早く手に取り、日時を確認すると今日は日曜日だという事に安堵した。

「…平日だったら遅刻だったよ…」

美月は安心から、気が抜けてその場に座り込む。
そうしていると、まだ寝台に居るイクシスが寝ぼけ眼に上体を起こす。

「…ん、…みづき」

美月は自分を呼ぶ声に再び、今の状況を思い出し振り返る。
そういえば、昨日はあのまま疲れて眠ってしまったんだ。
傍らに居る少年を残して。
隣の部屋へ入れてあげれば良かった。

美月は疲れていたとはいえ、自分の取った行動を改めて反省する。

「ごめんね、先に寝ちゃって…」

「…いいよ…みづき、暖かかったし…」

いつもより眠そうな表情だったが、微かに笑いとんでもない事を口にするイクシスに美月は一瞬、呆然とした。
しかし、じわじわと伝わる言葉に美月の顔に再び熱が集まる。

「でもね、いきなり私が寝てる所に入って来ないでね…びっくりするから」

「…許可を取れば良いの?」

「そういう問題じゃない!」

首を傾げながら問うイクシスに気持ちが爆発した美月は速攻で怒鳴りつけた。


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