吸血鬼の翼
不思議な味とイクシスから感想を聞くと美月は苦笑を浮かべて、その場を後にした。
まぁ、異世界とは食文化も違うだろうし、仕方ないか。
美月はそう思いながら誰か居る訳ではないが頷く。
彼が朝食を採っている間に美月は再び部屋に戻っていた。
昨日の服の儘、寝てしまっていたので何だか気持ち悪い。
本当は直ぐにでも着替えたかったのだが、イクシスが居た為それは出来なかった。
「洗濯しなきゃな」
着替え終えた美月は先程まで着ていた衣類を両手で抱え、洗濯機のある場所まで小走りで向かった。
辿り着けば、溜まった衣類と一緒に洗濯機の中へ放り投げてセットするとそこで一息吐く。
「…あの夢…何だったんだろう?」
今でも鮮明に思い出せる程、朝方まで見た夢は美月の頭にしっかりとこびり付いていた。
あの女の子は一体誰だったんだろう?
美月は未だ正体不明の女の子に疑問を抱いていた。
更に妙な事にあの女の子を自分は知っている様な気もするのだ。
謎が謎を呼んで、その事を考える度に答えは見い出せず、雁字搦(がんじがら)めになる。
「…変なの、あれは夢じゃない」
ふと美月は現実に返って、再度溜め息を漏らす。
真剣に考えた所で解決する話でもないし、確かな答えだってない。
所詮は夢の中の出来事なのだ。
それにあの夢は自分にとって決して良い事なんかじゃない。
忘れてしまった方が良いに違いない。
そう言い聞かせると、美月は思考を止めてイクシスのいるダイニングへ再び足を運んだ。