吸血鬼の翼
イクシスの耳には届かなかったが、ラゼキは魔法の詠唱をしている。
人差し指を一振りすれば、そこから通常より小さな旋風が発生した。
丁度、人が3人入る位の大きさだ。
その風を操っている指をクルリと回すとあっという間にロヴンを取り囲む。
「煩いガキには…お仕置きせなあかんやろ」
ラゼキは息も絶え絶えにそう言うと膝から崩れ落ちる。
我に返ったイクシスは駆け足でラゼキの元へと向かう。
「……ラゼキ…ごめん…」
イクシスが支える様にラゼキの腕を自身の肩へ回す。
殴られた痕が痛むのか、辛そうに顔を歪める。
しかし、暗い表情を浮かべたイクシスを見るなり、口角を上げて苦笑してみせる。
「……何、言ってんねん、そんなん気にせんと任せとけや…」
血反吐の付いた口元を服の袖で拭ったラゼキは自身の放った旋風を見つめていた。
ソレが長く続かない事はラゼキ自身にも分かっている。
さて、ここからどうすればいいのか?
ラゼキは自身を落ち着かせる為にゆっくりと深呼吸をした。
そして思考を巡らせる。
吸血鬼は日の光に弱いと知っている。
混血児でも肌を焦がす程だ。
純血の吸血鬼なら、もっと辛い筈。
それこそ身を焼く程に。
その時を狙うなら、朝になるまで時間を稼ぐしかない。
確かめる物はないが、体内時計で計ると恐らく日出まで3時間後…
それには先ず、身を隠す物をロヴンの元から遠ざけなくてはいけない。
例えば、ローブ等の衣類。
ここにあるとするなら、舞台袖にあるカーテン。
そこへ視線をやるとラゼキはニヤリと口元を歪めて笑う。
「…イク坊、あのカーテンを引き千切って持って来い」
「……何を?」
イクシスはラゼキの言葉の意味が理解出来ないらしく、眉間に皺を寄せた。
人差し指を一振りすれば、そこから通常より小さな旋風が発生した。
丁度、人が3人入る位の大きさだ。
その風を操っている指をクルリと回すとあっという間にロヴンを取り囲む。
「煩いガキには…お仕置きせなあかんやろ」
ラゼキは息も絶え絶えにそう言うと膝から崩れ落ちる。
我に返ったイクシスは駆け足でラゼキの元へと向かう。
「……ラゼキ…ごめん…」
イクシスが支える様にラゼキの腕を自身の肩へ回す。
殴られた痕が痛むのか、辛そうに顔を歪める。
しかし、暗い表情を浮かべたイクシスを見るなり、口角を上げて苦笑してみせる。
「……何、言ってんねん、そんなん気にせんと任せとけや…」
血反吐の付いた口元を服の袖で拭ったラゼキは自身の放った旋風を見つめていた。
ソレが長く続かない事はラゼキ自身にも分かっている。
さて、ここからどうすればいいのか?
ラゼキは自身を落ち着かせる為にゆっくりと深呼吸をした。
そして思考を巡らせる。
吸血鬼は日の光に弱いと知っている。
混血児でも肌を焦がす程だ。
純血の吸血鬼なら、もっと辛い筈。
それこそ身を焼く程に。
その時を狙うなら、朝になるまで時間を稼ぐしかない。
確かめる物はないが、体内時計で計ると恐らく日出まで3時間後…
それには先ず、身を隠す物をロヴンの元から遠ざけなくてはいけない。
例えば、ローブ等の衣類。
ここにあるとするなら、舞台袖にあるカーテン。
そこへ視線をやるとラゼキはニヤリと口元を歪めて笑う。
「…イク坊、あのカーテンを引き千切って持って来い」
「……何を?」
イクシスはラゼキの言葉の意味が理解出来ないらしく、眉間に皺を寄せた。