吸血鬼の翼
家に着くと、母が出迎えてくれた。
3人共びしょ濡れになって帰って来たので母は少し驚きながら、バスタオルを渡してくれた。
その後ラゼキはイルトを背負ったまま、階段をのぼり部屋に向かう。
美月は黙ってそれを目で追った。
そして美月も母の元を離れ、自分の部屋へと戻る。
ベッドに倒れるように仰向きになって天井を見つめ、今日あった出来事を思い出していた。
あの並木にいた時のイルトの様子…
初めて会った時や、悪夢に魘されていた時と似てる。
虚ろで、寂しそうで、
助けを求めているような──
そこまで思考を巡らすと一息し横に向いて窓を見る。
私はイルトに何をしてあげられる?
どうすればいい───…?
今もイルトがうなされていた時からその気持ちは変ってない。
だからもっと必要としてほしい。
頼ってほしい。
イルトにとって安らげる場所を与えてあげたいの。
美月は強くそう願いながら、ベッドのシーツを握り締めて身を縮めた。