吸血鬼の翼
幾分時が過ぎた後も、美月は相変わらずベッドに横になっていた。
「ミヅキ─…」
声がしたかと思えば、静かにドアの開く音を聞いたので美月は其方に視線を移した。
「……イルト!」
意識が回復したのか、イルトの表情は正気を取り戻し、ちゃんと美月をその瞳に映していた。
安堵した美月は自分の状態を見て慌てて体勢を整える。
イルトはニコッと優しく笑い、美月の座っているベッドへと歩み隣りに腰を下ろした。
「ごめん、ミヅキ。」
「いいよ。この通り、平気だし」
美月は手の平を左右に振って大丈夫だって事を示す。
少しでもイルトの不安を取り除こうとその気持ちから。
「俺─…」
イルトは目を伏せ、何かを考えている。
美月はその雰囲気に嫌な予感がした。
「もう…ここにはいられない」
「!?」
イルトの言葉を耳にした瞬間、美月の体が凍り付いた様に動けなくなった。