吸血鬼の翼
「その服、洗濯したいから部屋にある別のものを着て、たらい置き場まで持っておいで」
「…うん。」
イルトの服に誇りや汚れが付いていたのをルイノは手の平で軽く払ってやると、着替えて来る様に促す。
2人共、さっきの半獣人との争い等で衣類は埃を被ったのだ。
そしてイルトとラゼキの頭を撫でた後、ルイノはドアの修理をしたいと静かに微笑って倉庫に向かった。
ラゼキはイルトを見るなり、先程とは違ってニッコリと子供らしく笑ってみせる。
その彼の様子にイルトは少しだけ唖然としながら何処かで安堵した。
「しっかし、ビックリやで!!最初は弱そうな奴やな~って思ったけど、結構度胸あるやんけ。見直したわ」
「ラゼキだって凄かったよ…手から光がピカッて」
ラゼキはイルトの率直な言葉に照れているみたいでそんなことはないと否定しながら、彼の背中をバシバシと軽く叩いた。
「痛いよ…」
「ああ、すまんな。」
そんな他愛のない会話をしながら2人はそれぞれ、自分の部屋へと戻った。
礼拝堂の裏手に魔物が1匹いる事に気がつく由もなく……。