吸血鬼の翼
木材で出来た長い廊下には2人分の足音が木霊している。
先刻の事件の事もあって、イルトとラゼキはすっかり打ち解けていた。
それに、どうやら訳あってラゼキもここに住んでいるのだという。そんな事情を知ったイルトは彼に親近感を覚えたのだろう―。
「ラゼキは修行でここに?」
「まぁそうやな~、修行ゆったって神父になりたい訳ちゃうんやけどな。」
「もしかして……魔法の?」
「そう!!」
魔法の事を言った途端、ラゼキは瞳をキラキラと輝かせた。それを横目でイルトは静かに彼を見ていた。
「いつかは立派な魔術師になって…」
「ルイノ!!!」
「って、聞かんかい…」
廊下の角を曲がったところで、外に在る盥(たらい)置き場に辿り着いた。
そこには、白い服やシーツ等洗濯物を干していたルイノの姿があった。
「イルト、ラゼキ」
2人の名を呼んだ青年は微笑していた。
天気も小春日和で爽やかな風も吹いている。
穏やかな雰囲気を持っているルイノにイルトは段々と居心地の良さを感じていた。