吸血鬼の翼
「……軍人か?」
「た、多分…この国の人じゃなさそうだったけど、軍服っぽかったし。」
リリアはその時の事を思い出している様で眉間に皺が寄っている。
心当たりのありそうな人物を思い浮かべている所で、またもやリリアから両腕を掴まれる。
「ねぇ!吸血鬼って、イルトの事だよね!何で、どうしてっイルト大丈夫なの!?」
酷く動揺しているリリアの頭に手の平を置いて宥める。
そして、自分自身にも言い聞かせる様に深呼吸をした。
兎に角、落ち着け。
冷静になれ。
どうして、軍人がイルトを探しているんだ?
何か、目的でもあるのか?
暫く、思考を巡らしていたソウヒだったが、答えが出ず、自分の茶褐色の髪を乱暴に掻く。
「…ああっクソ!わかんねぇよっ」
ソウヒは既に幾つか買っていた食材の入っている紙袋を手でクシャリと掴む。
リリアはただ、呆然とするばかりだったが、ふとある人物が頭に思い浮かんだ。
「ねぇ、神父様は何か知ってるんじゃないかしら!?」
「そうか!サンキュ!」
「あっ!ちょっと、ソウヒ待ちなさいよ!」
リリアの口からその名称が出ると同時に呼び止めを聞かず、ソウヒは礼拝堂のある丘の方角へ駆け出した。