吸血鬼の翼


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「ってのが、事の顛末だ。…俺は気絶しちまったから、詳しい事は言えねぇけど。」

「……じゃない。」

リリアは俯いて声がくぐもっていたので、ソウヒにはちゃんと伝わらない。

もう1度、聞こうと少し屈んでリリアの顔を見てみる。
するとリリアの表情は哀しく歪んでいた。
それに驚いたソウヒは目を点にさせてリリアの肩を掴む。

「リリア、大丈夫か?」

「あんたって本当にバカ!」

黒曜の瞳いっぱいに涙を溜めたリリアはソウヒを叱りつける。

「おい、何で泣くんだよ?」

怒られた原因がイマイチ分かってないソウヒはリリアの様子にただ困惑した。

「………鈍感バカ。」

何故、リリアが泣いているのか悟ったイクシスはソウヒには聞こえないくらいの小さな声で呟く。
ルイノも苦笑いしか出来ずに2人を見守っていた。

「………取り敢えず分かったのは、そのクラウって奴は危険人物な訳なんだね。」

この状況から一番先に抜け出したのはイクシスだった。
それに続いてルイノは静かに頷く。

「気をつけるにこした事はねぇな。」

ソウヒも真剣な眼差しで3人を見る。
リリアはまだ濡れてる瞳で戸惑いながら、頷く。

「じゃあ、準備しないとね…」

ルイノは一息してから、書庫を後にした。


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