吸血鬼の翼


残された3人の空気は少しの沈黙と妙な気まずさが流れた。

まだ、治まり切らない涙を必死に拭うリリアは顔を赤くして黙り込む。
ソウヒはこの沈黙に窮屈さを感じて後頭部を掻いている。

一方のイクシスは平然とした顔つきで書庫の扉に向かおうとした。

「ちょっ…イクシスっ普通この状況で出て行くか!?」

「……うん、オレには関係ないし。」

尚も書庫を出て行こうとするイクシスにソウヒは肩を掴んで、慌てて止めに入る。
だが、イクシスから出た言葉は淡白なもので助けを期待出来そうになかった。

「取り敢えず、居てくれるだけで良いから!」

しかし、今のソウヒにしてみれば、2人っきりになるよりは誰かが居てくれた方が良いと思った。
その返事にイクシスは心底嫌そうな表情を浮かべる。

「…ごめん、私ちょっと動揺しちゃってて…」

そんな2人のやり取りを理解したリリアは切り替える様に謝罪して笑ってみせた。

「そっか、もう大丈夫か?」

「…うん。」

ソウヒは落ち着いたリリアの様子に安堵の溜め息を吐く。
その反応を見ていたイクシスは唖然とする。

「……じゃあ、俺等も出来る事はしないとな!」

強引にも見えるが、何とかこの場を乗り切った3人はソウヒの掛け声を合図に書庫を後にした。

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