吸血鬼の翼
「グガアァァっ」
半獣人の断末魔が部屋中に響き渡る。
その炎は他の半獣人達にも移り、辺りは火事の様に燃え広がる。
それを見ていたソウヒは距離が近い所為もあって思わず苦笑いを浮かべた。
「…すげぇな、あっという間だぞ。」
「しゃあない、使いたくなかったけど…今は悠長な事、言ってられへんしな。」
だが、難を逃れた半獣人も何匹か居たらしく炎を吹き消し、ラゼキとソウヒを取り囲んでいた。
「人間くせに殺してやる!」
怒りの頂点に達した1匹の半獣人が大きな掌でソウヒの頭上目掛けて振り下ろす。
それに倣って他の3匹の半獣人も鋭い爪と牙で攻撃しようと襲って来た。
ソウヒは軽々と半獣人の間合いに入り、素手と素足を使って薙ぎ払っていく。
「へへっそう簡単にやられてたまっか!」
ラゼキはソウヒが自慢気に倒していくその背後で何かの気配を感じ取った。
「あかんっソウヒ!そこから離れろ!!!」
ラゼキの声と同時にソウヒの体には無数の糸が絡められていく。
ラゼキの視線はすぐさま、壊れた窓の外へ向けられる。
其処には木の枝に座る男が此方を見て滑稽そうな笑みを漏らしていた。
「馬鹿だなぁ、こんなに簡単に引っ掛かるなんてさ!」
ケタケタと笑う紫の髪をした男はソウヒを指差して更に可笑しそうに声を上げた。
「………誰だ?」
ソウヒは自分に絡み付く糸を振り解こうと躍起になる。
そんな反応を見て、男は口角を上にあげ不気味に微笑んだ。
「誰かなんて、今のキミ達が知る必要はないよ…ねぇ、バル?」
「ああ、そうだな。」
男が隣りを見ると其処にはもう1人、黒い髪をした金の瞳を持った青年が立っていた。