Love Place


その間、「莉茉ちゃん!」という声が聞こえたが、振り返らずにそのまま走った。


言われた場所に着いて、ふたりのことを見守る。


こんな行動は無責任だと思うけれど、渚は怒ると面倒な性格だから仕方ない。


特に渚の場合は友達が絡むとそうだった。

少しでも自分の友達の悪口を言われると機嫌が悪くなるのだ。


その分、渚は誰の悪口も言わない人だったけれど。


粗おんなことを考えていると、渚が急に風間さんの胸ぐらを掴んだ。


そして風間さんに何かを言ったようだけど、人通りの多いこの駅前では聞こえない。


でも、風間さんが怖気付いていることだけはわかった。


その姿を確認すると、渚は私の元に歩いてきた。


風間さんはその場で立ち尽くしている。


近づいてきた渚に腕を掴まれ、「行くぞ」という声とともに歩き始めた。


それから電車に乗るときも、道を歩くときも腕は離してはくれなかった。


いつもと違う駅で電車を降りて、連れてこられた先は渚の部屋で。


二回目だな、なんて呑気なことを思っていると、部屋に入るやいなや寝室らしきベッドのある部屋に連れて行かれてそのベッドに押し倒された。


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