Love Place



そこは見るからに「温泉地です!」という感じのところで。


屋台などがたくさん並んでいた。


有名な温泉地ということもあり、外国人の観光客の人たちや、国内旅行に来ている人たちもいっぱいいて。


さすが有名所だな、と感心していると。


「ねえ、せっかくだから温泉卵でも食べない?」


「いいね」


ということで、私たちは近くにあった温泉卵を購入した。


いただきます、と声を合わせてそのプルプルの温泉卵を食べ始めた。


「ん~っ!」


「おいひ~っ」


それがあまりにも美味しくて、思わずお店の前で二人して声を出してしまっていた。


「そうかい、お嬢さんたち。ありがとね」


と、後ろから声を掛けられて振り返ると、そのお店のおばちゃんだった。


少し驚いたけど、おばちゃんがとても嬉しそうな表情をしていたので、私もすぐに笑顔になって「いえ、こちらこそこんなに美味しいものをありがとうございます」と言った。


続けて朱里もお礼を言うと。


おばあちゃんは本当に嬉しそうにもう一つ、温泉卵をサービスしてくれた。


申し訳ないと言ったけれど、おばちゃんは「いいのいいの」と半ば強引にくれた。


それから私たちは旅館に向かって温泉街を歩き始めた。


「それにしてもさっきの温泉卵美味しかったね~」


「うん。おばちゃんもいい人だったしね~」



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