Love Place
本当はもっと食べ歩きしたかったけれど、もう旅館に戻らないといけない。
食べ歩きは明日でも出来るし、ということで私たちは夕ご飯のために旅館へと戻ることにした。
私たちが旅館に戻る頃には、もうすっかり辺りは暗くなっていて、でもそれでも賑わっているのが、さすが有名所だ。
いい匂いにつられて屋台に入ってしまいそうになるのを必死に堪えて、私たちは旅館に戻ってきた。
「ご飯何時からだっけ?」
「七時からだったと思うよ」
「じゃあまだ時間あるね」
温泉に行くのには中途半端な時間だったため、とりあえず浴衣に着替えて話をした。
話題はもちろんお互いの恋愛事情で。
「坂井さんとのこともっと教えてよ」
と、朱里に聞けば、照れながらも詳しく教えてくれた。
どうやら告白は坂井さんからだったらしい。
まあそりゃそうだろうな、と坂井さんとしていたメールの内容を思い出す。
実は私は酒井さんから相談を受けていたわけで。
元から二人は両思いだということを知っていたからこそ、自分のことのように嬉しい。
そして朱里によると、今は喧嘩中らしい。
喧嘩の理由は得には聴かなかったけれど、この二人ならすぐに仲直りするだろう。
それよりも、問題は坂井さんだ。何で付き合った報告をしてくれなかったんだろう。
今度たっぷりお返ししてもらおう。