イジワル同期とルームシェア!?
これには私も、当の渡辺も固まった。

グラスには三分の一くらいのお水が残っていた。それが全部渡辺の頭にそそがれたわけで、水滴がポタポタの髪からテーブルや座席に落ちる。


「舞花、私も金村さんと同意見。あのプールの時、古町さんも何度となく青海さんを見てた。舞花と並んでるのを苦しそうに見つめてた。あの二人の仲は裂けないよ。
ここであんたがキレるのはお門違い。金村さんに失礼。
そんなに悔しいなら、今からでも青海さんにちゃんと告白すればいいじゃん」


山口の静かな言葉に気力を奪われたかのように、渡辺がどさりと席におしりをつく。放心状態だ。
自分でやっておいて、山口は肩までびしょびしょの渡辺をタオルハンカチでぐいぐいとぬぐっている。


「金村さん、すみませんでした。渡辺は私が連れ帰りますので」


「うん、わかった」


私は苛立ちを爆発させる機会をなくしたことに、モヤモヤ半分、安堵半分。
山口が放心状態の渡辺をタクシーに乗せるのを見送りながら、やはりこれでよかったのだと思う。

私がお節介に説教するより、山口が話を聞いた方がいいに決まってる。
恨みを抱えたまんまじゃ、渡辺も次の恋ができない。
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