realize
水槽越しに翔大くんがみえる。


こっちを気にすることなく
話しに夢中になってるみたいだった。


翔大くんの突拍子もない行動には
慣れてたつもりだけど…

なにやってんだろ、私は…。


やることもなく、ただ魚と水の
揺らめきのなかでぼんやりと存在する影を見ていた。


なにもしないでいる時間は
とてつもない寂しさを運んでくる時がある。


こうゆう時間は苦手だった。

余計な時間があると、
考えなくてもいいことを考えてしまう。


翔大くんが私をこうやって連れ出すときは
私が何かに落ち込んでるようにみえるとき…


私は何かに落ち込んでる…?


翔大くんが気にかける最近のことで
思い当たるのは一つだ。


きっと、昨日の亜美香さんと翔大くんのことだ。


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