realize
ナースステーションに差し掛かった辺りで
目の前に現れた人の姿に自分の心臓が
驚くほど高鳴り揺れるのがわかった。


身体が思わず硬直した。


いきなり立ち止まった私を
ビックリした顔で振り向いた下関さんは
私の視線の先を辿るようにみた。


でも下関さんが私の視線を辿り、着いた先には
既に私が見ていた人は私達の病室とは反対方向に消えていた。


私はただそれを何もできずに
ただ見ているだけだった。


「…大丈夫ですか?」


下関さんの声に、ハッと我に返る。


身体に力が入らず、今すぐ
しゃがみこんでしまいたい気分だった。


「…あの…」


目の前には困った顔をして立っている下関さんがいた。


力を振り絞るようにきつく目を閉じた。


「すみません、最近貧血気味で…
もう大丈夫です、行きましょう。」


下関さんはまだ心配そうな顔のまま
それでもそれ以上は何も言わなかった。



一瞬みえたアレは見間違い…?
いや、あれはきっと翔大君だった。

なんでこんなところに…?
誰かのお見舞い…?


こんなこと考えても意味はなかった。


もう、私たちは関係がないのだし
関わりのない生活に戻ったのだから。
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