きみが死ぬまでそばにいる
 
 それから一週間、陸とは元通りに付き合い続け、わたしはことが思い通りに運んだことで上機嫌だった。
 万が一、陸を天童さんにとられるようなことになっていれば、復讐にも支障をきたす。でも、そうはならなかったわたしは天すらも味方につけている。もしくは、陸をべた惚れにさせるほどのわたしの演技力の賜物だ。
 しかし、このまま陸とただ付き合い続けるだけでは意味がない。この交際の目的は、異母弟と疑似恋愛をすることではないのだ。
 陸はひたすらわたしをちやほやしてくれるから、それはそれで心地よかったのだけれども……そろそろ次の一手を考えなければならないだろう。
 そんなことを考えていた、ある昼休みのことだった。

「さっき購買で天ちゃんに会ったんだけど、放課後屋上に来て欲しいって」

 パンを買って教室に戻ってきた泉が、わたしの前に座りながら言った。

「え? わたし?」

 思わず聞き返す。ここ数日、彼女のこともその存在も、すっかり頭になかった。蹴落とした女のことをいつまでも考えているほど、暇ではないのだ。

「そう、紗己子。わざわざ部活の前に、って何かな? 心当たりある?」
「さあ、進路相談かな? 一年生は文理選択あるし」
 
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