自分勝手なさよなら
神楽坂から後楽園のLaQuaへ向かった。
少し仰々しいイルミネーションが輝き、数組のカップルを照らしていた。
周りから見たら私たちもカップルに見えるのか…
この年齢差じゃ、兄弟かな。まさか親子?
いや家族でイルミネーション来ないでしょ。
じゃあカップル…?

頭の中でぶつぶつ繰り返していると、内田くんは目を輝かせて「あー何か乗りたかったぁー」と呟いた。
もう観覧車やジェットコースターの営業は終わっていた。

「近いんだからまたくればいいじゃない。」他意はなくそう言った。
私と、なんて厚かましい気持ちはなかったので
「ですね。また来ましょう!」そう返されて驚きすら覚えた。

メインのイルミネーションというか、音楽と共に色の変わっていくドーム型のイルミネーションがあり、
その中のベンチに腰かけた。

「おーきれい」内田くんが言う。
「けど寒い」私が返す。
「寒くないですよ」

横並びで座ると距離が近い…
こんなとこ誰かに見られたら言い訳できない…
それにしても睫毛長いなぁ…
至近距離で見られてることを気づいたのか、
内田くんは暗闇でも解るくらい顔を赤くして目をそらした。

「あっ、ジェットコースターが!」私は指差して、内田くんが反対側をパッと見上げる。

「うそ」
そう言って私は内田くんにキスをした。
ほんの一瞬だけ触れたか触れたかも解らないくらい。
自分でも反射的にした自分の行動が信じられなかった。


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