明日はきっと晴れるから



いつものニコニコした愛想の良い笑顔の彼に、恐る恐る確認してみた。



「春町くん、あの、400メートル走……走るよね?」



すると、美緒ちゃんにさっき言われた通りの答えが返ってきた。



「棄権するー。外、暑いし、汗かくの嫌だし。

でも、女の子の応援は頑張るよー。
菜乃花ちゃんの女子バレーも、ちゃんと応援に行くからね」



外が暑くて汗かくのが嫌だから、棄権する……?


え? 確か種目決めした時に、春町くんは自分から400メートル走に手を挙げていたはずだけど……。


外が嫌なら、初めから室内競技にすれば良かったのに、どうして?



春町くんの考え方が理解できなくて、ジッと顔を見てしまった。


言葉には出していないけど、怪訝そうな表情をしてしまったのか……春町くんは説明を足してくれた。



「団体競技をバックレんのは、チームのメンバーに悪いけど、400メートル走は個人種目だから別にいいじゃん。

そう思って、400メートル走にしたんだー。

棄権しても、誰にも迷惑かけないし」



「春町くんは……体育祭が嫌い?」



「嫌いじゃないよー。授業もないし、女の子の応援は楽しいから好きだよ。

でも、俺が走るのは嫌だな。どう頑張っても運動部の奴らに勝てないしー。

負けたらカッコ悪いじゃん。それなら棄権した方がカッコ良くない?

な、裕也?」



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