明日はきっと晴れるから



体育館の両サイドにはギャラリーと呼ばれる2階部分があって、その細い通路から柵にもたれて観戦している生徒もいた。


私がサーブしたボールはコートを大きく逸れて、そのギャラリーへ。


柵にぶつかってから、相手のコート内に落ちてきた。


もちろん得点は、相手チームに入る。


春町くんが笑いながら言った。



「菜乃花ちゃーん、壁を使った攻撃はダメなんだよー。
面白い戦法だとは思うけどさー」



その声で、みんながドッと笑っていた。


美緒ちゃんも由希奈ちゃんも、応援のクラスメイト達も、相手の1年生女子も楽しそうに笑っていた。


私の恥ずかしいサーブミスは、明るい笑いに変えられていた。


こういうことができる春町くんって、やっぱり優しいなぁ……。


そう思いながらも、私の視線は春町くんではなく、ギャラリーに向いていた。


あれは……結城くん?


ギャラリーで観戦している10人ほどの集団から少し離れた位置に結城くんは一人で立っていて、私に視線を向けていた。


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