あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 会社で禁止されているバイトをこっそりやるよりも、そのほうがいいと思う。
 正直に社長に打ち明けて相談すればいいのだ。
 社長は経験豊富な人生の先輩であり、女としても先輩なので、親身になって良い方向に導いてくれそう。

「ありがとうございます。でも、それはできません」

「樹沙ちゃん……」

「葉月さんや社長にご迷惑をおかけすることになりますから。私が自分自身の努力でがんばりたいんです」

 お金をあげるのではなく、貸すと言っているのだ。
 だけどこういう律儀で真面目な部分が、樹沙ちゃんらしい。

「わかった。このことは誰にも言わない」

 自分自身の努力……
 それは以前に社長が口にしていたことだろうか。

 幸せは向こうからやってくるわけではないから、自分から掴む努力をしろと、社長は私にずっと刷り込んでいる。

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