あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 小さく手を振り、市川さんの背中を見送る。
 だけど歩き出してすぐに市川さんは振り返り、意味深にニヤリと笑った。

「あの彼とお似合いだよ。仲良くね!」

 去り際に言い逃げされても困ってしまう。否定もできないし、誤解もとけない。
 なんだか消化不良でモヤモヤする。

「はぁ、はぁ、はぁ……葉月さん、今の男、誰?」

 走って来た架くんが私のもとまで来て、市川さんのことを尋ねた。
 かなり息が切れていて、いつでも何事にもスマートな架くんには珍しい姿だ。

「誰って……前の会社の同僚」

「走ったからめちゃくちゃ暑い。喉がカラカラだ。なにか飲もう!」

 そう言うなり、架くんは私の手を取って足早に歩き始めた。

「ちょ、ちょっとどこ行くのよ!」

 今の男は誰なのかと質問したのは架くんのほうなのに、それに対して真面目に答えた私の言葉には無反応だ。

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