あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 今までの私なら、またひとつ歳を取るのかと落胆したかもしれない。
 でも今は私を必要とし、世界中の誰よりも愛をくれて、大切にしてくれる人がそばにいる。

 これからは、その人と一緒に年齢を重ねていくのも悪くない。
 心の中でそう思い、隣を歩く架くんを再び見上げた。

「葉月って、そういうとこ天然だよな」

「架くんこそよく覚えてたね」

「恋人の誕生日なんだから当たり前だ!」

 あっけらかんと返事をする私にあきれているのか、架くんの口元が尖っていた。
 そのわりに、繋いでいる手はギュッと力を込めていて離さない。

「どこか行きたいとこある? 誕生日デートしよう」

 咄嗟にそう聞かれても、私は十年間、デートから遠ざかっているので考え込んでしまった。
 今は付き合い始めなので、どこに行っても楽しいし新鮮だろう。だから結局、どこでもいい。

「あ、そうだ。私ね、毎年行くフードフェスがあるの」

「フードフェス?」

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