あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 誕生日当日の土曜日がやってきた。

「葉月、二十九歳の誕生日おめでとう」

「ありがとう。……おめでたくない歳だけどね」

 待ち合わせていた駅で私を見つけると、架くんは真っ先にお祝いの言葉を伝えてくれた。
 おめでとうと言われるとうれしいし、架くんに悪気がないのはわかっているが、妙齢の女性の年齢をはっきり言わないでもらいたい。

「俺は葉月が何歳でも構わないよ」

「五十歳でも? 十七歳でも?」

「十七歳は困るな。犯罪になる」

 言いながら笑う架くんを見ていると、なんだか気が抜けた。
 本当に綺麗な笑顔だ。こんなイケメンが私の恋人だなんて、未だに信じられない。

 だけど、これがもし夢ならば、それでも構わないと思う自分がいる。
 たとえ儚い夢だとしても、その一瞬だけでも架くんが私に本気の愛をくれるのなら幸せだと思うほど、私の心には架くんが棲みついてしまった。

 私たちはどちらからともなく手を繋ぎ、フードフェスの会場へと向かった。

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