あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 そのあとは、架くんから連絡が途絶えた。
 と言っても、私たちは会社で自然と顔を合わせるので、挨拶や仕事の話をしているうちに、いつの間にか元の雰囲気に戻れるかもしれない。

 「あの時はごめんね」と、素直に言いやすい状況に、いずれなるだろう。

 そうやってものすごく都合のいい想像をした私は本当にバカだった。 
 気が付いたときには、あの喧嘩から五日が経っていた。

 今日こそは笑顔で「おはよう」と声をかけよう。
 毎朝そう意気込んでいたけれど、うまくいかず、結果は全敗だ。
 声をかけようとすると、架くんが意図的に私に背を向けてしまう。

 今日もそうだった。なのであれから私たちは五日間……ひと言も口をきいていない。

 実は私は恋人と喧嘩をした経験がない。
 元カレの修次には結果的に陰で裏切られていたが、普段は言い争いもなく平和だった。

 だから、仲直りの仕方がわからないのだ。

 架くんを傷つけたことは謝りたい。

 だけど、私たちの間に生まれた“価値観の違い”という溝は埋められない気がしている。

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