あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 もうダメかもしれないな……
 ふと、本当に自然にそんな感情が生まれた。

 浮気されたなどの決定打がなくても、世の中には“性格の不一致”という言葉がある。
 架くんと私は、元々正反対みたいな性格と容姿だ。

 よく考えれば付き合っていること自体、奇跡なのだろう。
 
 私も架くんも目が覚めたら、このままお別れすることになるかもしれない。

 たった数週間の交際だったけれど、両想いになれてうれしかったし、胸がドキドキしてときめいた。

 それだけで十分だ。すべては夢だったと思おう。
 あんなイケメンが私を好いてくれたなんて、あるはずのないことが起こったのだから。


 大丈夫。今なら引き返せる。
 自分に言い聞かせていると、ポタリ、とデスクに水滴が落ちた。

 それが自分の目から零れ落ちたものだと気づくのに少し時間がかかるほど、私はこのとき呆然としていた。

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