ガリ勉×メガネ=?
 えっ!?
 一瞬身が軽くなって驚く葉菜は、先生の横顔が間近にあることに更に驚く。
 今年新任として学校に来た瀬戸口は、30代前でまだ若く、人当たりのよい性格と爽やかな二枚目で人気のある先生だった。痩せているが、成人した男性らしく、がっしりと逞しい腕が、葉菜を抱きかかえている。

「えっあの先生!?」

「待ってなさい。今、保健室へ連れていくから」

 この騒ぎに生徒たちが集まってきた。皆、好奇の目を向けてことの成り行きを見守っている。
 は、恥ずかしい……!
 救いを求めて辺りを見回すと、あきが羨ましそうにうっとりとこっちを見てた。だめだ、彼女からの救いの手は期待できない。
 レンは、どこ?

「先生離して! 大丈夫だからっ」

「無理するんじゃない」

「でも私、自分で……」

「いいから」

 言いかけた言葉もぴしゃりと遮られてしまった。
 騒げば騒いだだけ人の視線は集まる。自分に向けられる視線が痛いと感じながらも、納得するまで下ろしてもらえそうもないことに、抵抗を諦めた。

 瀬戸口は、葉菜を抱き上げたまま器用に保健室のドアを開け、中へ入る。二つ並ぶベットの窓側のほうへ、そっと下ろされた。保健室の中を見渡すと保健医の姿は見えない。タイミングの悪いことに、席を外しているときに来てしまったようだ。
 ベットの上に座らせた葉菜に視線を合わすように、長身の体を折り曲げる。

「よし、先生が手当してやるからな。で、怪我をしたのはどこなんだ?」

「………」

 今更いいにくくて黙りこむ。
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