ガリ勉×メガネ=?
「ん?」

 綿菓子のように優しい笑顔がのぞき込んできた。
 私は先生に向かって手を突き出した。

「まさか……手なのか?」

 怪訝そうに片方の眉を持ち上げ、それに答えるように葉菜がゆっくり頷く。
 先生の目の前でまだぴりぴりと痛む手の平をひっくり返した。ちょうど手の平の真ん中に赤く血が滲んでいる。

「起きようとした時、画鋲が刺さったみたいで」

「なんだぁ~手かぁ!」

 張り詰めた緊張が溶けたように、ため息を吐きながらほっと胸を撫で下ろす。

「だから自分で歩けるっていおうとしたんですよ!」

 恨めしげに訴える。

「身動きが取れないもんだと勝手に勘違いしたのは先生のほうなんだから、気にするな」

 立ち上がると消毒液を染み込ませた脱脂綿の入った瓶や、ピンセット等が並ぶ机に向かった。
 とりあえず消毒しないとな、なんていいながら机の上に手を伸ばした瀬戸口の袖が、ペン立に引っ掛かる。慌ててあげた手をピンセットに引っ掛けた。
 ガシャン!
 高い音を立てながら周りのものを巻き込んで、綺麗に整頓されていた机の上が、たちまちちらかる。
 いくつかのピンセットが机の上から落ちて、更に甲高い音を立てた。
 その様子を一部始終見ていた葉菜が唖然とする。
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