傷む彼女と、痛まない僕。
----------翌日、約束通り吉野さんは大会会場に姿を見せた。
吉野さんらしく、椅子には座らず2階席の後ろの通路の手すりにもたれた状態で、下のコートにいる僕らを眺めていた。
そんな吉野さんに、お母さんを発見した小学生の様に、『吉野ー!!』と勢い良くブンブンと肘を最大限に伸ばし両手を左右に振る小山くん。 彼は今日も存分に恋をしまくっている。
大声で自分の名前を呼ばれた吉野さんは、『恥ずかしいから静かにしろ!!』とばかりに、自分の口の前で人差し指を立てるも、それこそ母親の様に『しょうがない子だなぁ』と呆れた表情をしながら、立てていた人差し指を拳にしまい、その手を小山くんに向け『がんばれ』と口パクした。
吉野さんの『がんばれ』に、小山くん大喜び。 ボソっと『フェイダウェイ』と呟く始末。
『小山くんが今日フェイダウェイシュートを打つ』に1億賭けられる。 持ってないけど。