傷む彼女と、痛まない僕。

 「吉野、北川はオレがおぶるよ」

 さすがに吉野さん自身より明らかに重い男子を運ばせられないと、小山くんが吉野さんから僕を降ろそうとした。

 「ワタシ、80キロまで担げるから。 小山、試合後の反省会とかあるんじゃないの?? それに、小山だって分かってるでしょ?? 北川くんがバスケ部員に心配かけるのを嫌がる人だって事。 大丈夫だから。 病院までおんぶして行くわけじゃない。 小山は戻って。 試合、お疲れ。 フェイダウェイシュート、カッコよかったよ」

 吉野さんは、小山くんに僕を引き渡す事をせず、逆にやんわりと小山くんを引き離した。

 「・・・病院着いたら連絡しろよな」

 『カッコよかった』と褒められた小山くんは、しぶしぶ僕たちから離れて行った。

 ごめんね、小山くん。 小山くんの好きな人におんぶしてもらって、ごめんね。

 ふがいなさすぎて、涙が出そうだ。
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