この勇気をくれたのは君だったよ




『俺が悪い。彼女がいながらこんな関係を楽しんでたんだし?
 
 彼女に問い詰められても言い返す言葉もねーよ。

 けど、お前のこの身体が俺を乱したんだ…。

 お前だけが幸せになるとかありえねーから』





先輩はそう言うと近くの男子トイレに私の手を引いて、入っていく。




『……先輩、あの……』


『愛菜ちゃん、愛菜ちゃんだって今の彼にちゃんと愛されてんの?

 俺だったら遊んでばっかの女、本命の彼女にはしたくねーけど。』




先輩の言葉に、ズキッと胸が痛む。



『愛菜、お前みたいに堕ちた女は普通の恋愛なんて出来ねー…

 なら、俺とどこまでも堕ちろよ…!』



荒々しい先輩の息遣いに、

荒々しい先輩の手の動き。





目に浮かぶのは、直哉。



“早く更生しろよ”と言った、あの時の直哉の顔が脳裏に浮かぶ。









< 11 / 23 >

この作品をシェア

pagetop