この勇気をくれたのは君だったよ
直哉。
私、自分の人生に後悔なんてなかった。
けどね。
私、既に後悔してる-…
堕ちた女は這い上がることなんて出来ない。
堕ちた女はどん底を越えて、それでも尚、深みに堕ちていくしかない…。
『…それ、俺の女、なんだけど』
男子トイレのドアが開いたと思うと、そこには直哉が怒りを露わにした顔で立っている。
『……直哉…な、んで……?』
先輩に押さえつけられながらも口を動かす私に直哉は近づき。
私を押さえつけている先輩の手を意図も簡単に掴みあげた。
『って…!
なんだよ、お前…!』
直哉に腕を掴まれた先輩は荒々しい声で直哉に問いかけた。
『だから、このバカ女の彼氏!
俺の女だから、乱暴に扱わないでくれる?』
直哉には恐怖という言葉はないのだろうか。
先輩を見つめる、その強い目は一瞬たりとも怯むことはなくて。
先輩の腕を掴む、その腕の力は段々に強くなっていく。
『こんな誰にでも足を広げるような女がお前の本命?
…はっ、ありえないわ。
お前もこいつの身体に魅了された訳?
俺なら遊ぶにはぴったしな女だけど、本命には出来ねーわ』