この勇気をくれたのは君だったよ
『…お前がバカ野郎なら、俺はもっと大バカ野郎だな……』
直哉は失笑するかのように笑い、私はそんな直哉に首を傾げる。
『俺、お前のことが好きだった、ずっと。
けどお前はいつも他の男と遊ぶ、俺には遊びでも近付かないくせに。
いつの間にかお前は俺を苗字で呼ぶようになって、段々と開いていくお前との距離に俺の想いは届かないって諦めた…。
好きな女、好きな女だったのに、俺は諦めることを選択して、お前と向き合おうとさえしなかった……最低だな、俺…』
直哉、直哉も私を想ってくれている時があったんだね。
知らなかった。
気付かなかった。
でも、直哉は“好きだった”って言った。
それが意味するのは、直哉の中で私を想う気持ちは現在進行形じゃなくて、過去のこと。
『直哉、ありがとう。
私、直哉は大切な幼なじみだから…。
ねぇ、直哉、私はもう更生出来る。
だから、もう終わりにしよう?
恋人ごっこは終わりにしよう』
私の言葉に、直哉の瞳が揺れた気がした。
『大丈夫、私は大丈夫。
直哉がそう魔法をかけてくれたから、私はもう大丈夫。
だから、直哉が一番好きな人を守ってあげて?
男は好きな女を守るものなんでしょ?』