この勇気をくれたのは君だったよ
『……ごめん。
その…気持ちは嬉しいんだけど。
なんて言うか…その……好きよりも先にしちゃったし……なんか…“好きな人”っていう風に見れない……』
直哉には“好き”っていう想いがあった。
キスしたり、身体を繋げなくても、ちゃんと私の中に直哉への想いがあった。
『先輩、この先もずっとない?
俺を好きになる可能性とか、絶対にない?』
それは、とても弱々しい目だった。
男性のこんなにも弱々しい目を見たのは初めてだった。
『もし先輩がこの先も可能性がないって言い切るなら、先輩を好きとかいって困らせない。
けど、もし先輩が迷うなら、俺は先輩のその迷いにかけてみたい。
だから、てか…どうでしょうか?』
私はこの人を好きになれるだろうか。
直哉以上に、好きになれるかな?
『……私、今は君のこと、遊んだ人としか思ってない。
そんな私でいい?
ちゃんと君を好きになれるか保証もない、もしかしたら君に本気になれないで終わるかもしんない……。
それでも、君はいいの…?』
『可能性が0じゃないなら、1%でも俺に未来があるなら、俺はそれにかけたい。
だから、迷ってる先輩でいい。
俺を好きだって思えてない先輩でいい。
だから、俺ととりあえず友達以上の関係から始めてみませんか?』