この勇気をくれたのは君だったよ
『友達から、じゃないの?』
思わず彼の台詞に突っ込んでみる私。
『友達だと先輩と手を繋いだり、先輩に抱きついたりとか出来ない…から。
だからそういうの込みでの関係でいたいんで、友達以上からで……』
『キスとかも入るの?』
『それは先輩が俺にされてもいいって思える時までしません。
俺、そういうのが目的とか思われたくないんで!』
--ぶっ。
キスもその先もとっくに済ませた仲なのに。
好きとか、付き合おうとかで悩む私達ってなんなんだろう。
『先輩、なんで笑ってんすか?』
『だって……私達キスもその先もして色々見せ合ってる仲なんだよ?
それなのに好きとか、付き合おうとか、そんなんで……』
その時、逞しい腕が伸びてきたと思ったら、私の腕を掴み、引き寄せる。
気がついたら私は後輩君の腕の中にいた。
『確かに先輩の身体は隅々まで知ってます。
けど先輩はどんな時に笑うのか、どんなものが好きなのかとか…先輩の内側は知らないから。
俺達は全部を見せ合ってないよ、先輩。
だから一緒に過ごす中で、俺に先輩のことを教えてよ』