この勇気をくれたのは君だったよ





『あれ?愛菜、まだいたんだな』




藤本は私にそう言うと、机の中の教科書を鞄に詰め込んでいく。







『いちゃ悪い?

 それとも吉住さんとの時間を邪魔しちゃったかしら?』




私は藤本が座っている席の前の席に腰かける。


つい先程まであの子が座っていた場所ー…








『別に。てかお前、まさかまた男遊び?』



そんな問いかけに私は首を傾げる。







『お前さ、結構噂になってんぞ?
 やめとけよ、そういうことすんの』





『私が誰とキスしようが、身体の関係になろうが誰にも関係ない。

 現に藤本にだって迷惑かけてないでしょ?』




私の言葉に藤本は“まぁ…”と歯切れの悪い返事を出す。









『けど、お前は女なんだぞ?
 そういう噂が付き纏ってると本当に好きになれる男が現れた時に後悔すんぞ!』







後悔?



この私が?






そんなもの私がするはずないでしょ。









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