この勇気をくれたのは君だったよ
『直哉は私が堕ちていくのを傍観してる?
それとも私が堕ちていくのを助けてくれる?』
直哉は唇を噛みしめ、私を見つめている。
ねぇ、直哉。
私、知ってるの。
直哉が私を見捨てられないことー…
直哉は小さい頃から私を守ってきてくれた。
小さい頃から私の手を離すことはなかった。
『どうする、直哉?』
産まれた頃からずっと一緒にいる私たち。
その関係は“幼馴染”を越えて“家族”のようなもの。
だから直哉は見捨てれない、手を離せない。
『…………俺に何をしろって言うんだよ…』
『…そうだなー…。
直哉が私の彼氏になってくれたら、今、身体の関係がある人と全部、手を切ってもいいよ?』
私の言葉に、直哉はこぶしを握る。
『どうする、直哉?
直哉が私の人生を決めてくれる?』
私の言葉に数秒の間があって、そして直哉は口を開く。
『……分かった。
全部、手を切ってこいよ?』
『了解』
直哉は肩を震わせている。
そうだよね、直哉はあの子のことが好きなんだもんね。
けど、あの子に直哉は渡さない、貸してもあげない。
『ねぇ、直哉。
直哉が私の彼氏になってくれるんでしょう?
他の人達が私を満足させてくれてた、けどもう満足させてくれる人達とは手を切るの、だから直哉が私を満足させて?』