この勇気をくれたのは君だったよ
『………直哉、受けるの?』
私が直哉に言った通りに、受けるつもりなの?
『お前が恋人になればバカげたことはやめるって言ったんだ。
俺がお前の恋人になってやるから、他の男とは切ってこい!』
『……あの子は?
あの子のことは……好きなんでしょ…?』
『俺の気持ちは吉住だけ。
お前が立ち直れる、その日までの期間限定の恋人だ。いいな?』
直哉、直哉は間違ってる。
違う、間違ってるのは私。
直哉に間違えさせたのは、私だ。
『……直哉こそ後悔するんじゃない?』
『もう後悔してる。
けどお前は俺の弟のような存在だから、お前が道を外したままとか嫌なんだ』
『弟って……私は女、ですけど?』
『女なら簡単に男の言いなりになって遊ばれるなよ。
女なら男を夢中にさせてみろ』
直哉はそう言って、私の頬を軽くぺチンと叩いた。
『このバカ野郎、クズ弟。
俺がお前に付き合ってやってんだ、早く更生しろよ?』
そう言って、私に微笑む直哉を見て、人生で初めての後悔を味わった気がするー…