横顔の君
「じゃ、そろそろ行きますか。」
「あ、はい。」
恥ずかしい想いはしたものの、一緒にランチを食べて、並んで映画を見られた今日は最高の日だ。
ただ、映画を見てる間、共通の肘掛けに置いた手を握られるようなこともなく、やっぱり私はなんとも想われてないんだってことはよくわかったけど…
それでも、今日は良い日だったと思う。
「吉村さん…この後、なにか用はありますか?」
「え?い、いえ…別に…」
「良かったら、植物園に行きませんか?
この近くにあるんです。」
「え?は、はい!
行ってみたいです!」
信じられなかった。
これで終わったと思ってたのに、まだ一緒にいられるなんて…
つい今しがた見たばかりの映画のことを話しながら、私達はゆっくりと植物園への道を歩いた。
「あ、あそこですね!」
照之さんの指差したところには、硝子張りの建物の一部が見えていた。
花と緑と小鳥の楽園と書かれている。
「ここ、何年か前に出来たんですよ。
確か、二年くらい前だったかなぁ?
それで、いつか行ってみたいなって思ってたんです。」
「そうだったんですか。」
私がこっちにいた頃にはまだ出来てなかった施設だから、私は全く知らなかった。
「わぁ、すごく良い香り…」
園内に入ると、甘い香りが鼻をくすぐった。
至る所に花が咲き誇り、小鳥の声が耳に優しい。
「これは百合の香りでしょうか?
良い香りですね。」
「照之さんは百合がお好きなんですか?」
言った直後、『隠岐さん』ではなく『照之さん』と呼んでしまったことに気付いて、私の心臓が飛び跳ねた。
「ええ、好きですよ。
見た目も香りも…」
照之さんはそのことに気付いてるのかいないのか、少しも意に介していないようだったからほっとした。
「い、良いですよね。
わ、私も百合は大好きです。」
私は焦る心を抑えて、懸命になにもなかったふりを決め込んだ。
「あ、はい。」
恥ずかしい想いはしたものの、一緒にランチを食べて、並んで映画を見られた今日は最高の日だ。
ただ、映画を見てる間、共通の肘掛けに置いた手を握られるようなこともなく、やっぱり私はなんとも想われてないんだってことはよくわかったけど…
それでも、今日は良い日だったと思う。
「吉村さん…この後、なにか用はありますか?」
「え?い、いえ…別に…」
「良かったら、植物園に行きませんか?
この近くにあるんです。」
「え?は、はい!
行ってみたいです!」
信じられなかった。
これで終わったと思ってたのに、まだ一緒にいられるなんて…
つい今しがた見たばかりの映画のことを話しながら、私達はゆっくりと植物園への道を歩いた。
「あ、あそこですね!」
照之さんの指差したところには、硝子張りの建物の一部が見えていた。
花と緑と小鳥の楽園と書かれている。
「ここ、何年か前に出来たんですよ。
確か、二年くらい前だったかなぁ?
それで、いつか行ってみたいなって思ってたんです。」
「そうだったんですか。」
私がこっちにいた頃にはまだ出来てなかった施設だから、私は全く知らなかった。
「わぁ、すごく良い香り…」
園内に入ると、甘い香りが鼻をくすぐった。
至る所に花が咲き誇り、小鳥の声が耳に優しい。
「これは百合の香りでしょうか?
良い香りですね。」
「照之さんは百合がお好きなんですか?」
言った直後、『隠岐さん』ではなく『照之さん』と呼んでしまったことに気付いて、私の心臓が飛び跳ねた。
「ええ、好きですよ。
見た目も香りも…」
照之さんはそのことに気付いてるのかいないのか、少しも意に介していないようだったからほっとした。
「い、良いですよね。
わ、私も百合は大好きです。」
私は焦る心を抑えて、懸命になにもなかったふりを決め込んだ。