横顔の君
一瞬どきりとはしたものの、その後は特に失敗することもなく、色鮮やかな花を愉しみ、ハーブコーナーではハーブティとハーブのクッキーをいただき、小鳥のさえずりに癒されて、リラックスした時を過ごした。



「吉村さん、あそこにちょっと寄ってみませんか?」

照之さんが指差したのは、お土産を置いてるコーナーだった。
そこに入ると、照之さんはけっこう真剣にお土産を見られてるようだったので、私は少し離れてみるとはなしにお土産を見て回った。
すぐ近くだし、お土産っていうのもなんだけど、私もお母さんに何か買おうかなと思っていたら、ちょうど照之さんがなにかを手に取ってじっと見ているのが見えた。



「なにか良いものありましたか?」

「見て下さい。
珍しいですね、しおりがあったんですよ。」

そこには押し花で作られたしおりや花や小鳥の彫り込まれた革製のしおりが並んでいた。



「これ、良いと思いませんか?」

照之さんは、薄い桃色に染められた革製のしおりを指差す。
それには、百合の花が彫り込まれていて、しおりにしてはずいぶん高いものだった。



「ええ、とても素敵ですね。」

本当に素敵なものだけど、ただそれはどちらかというと女性的なものだったから、照之さんがそういうのが好きというのは少し意外な気がした。



「じゃあ、今日のお礼にこれをプレゼントさせて下さい。」

「ええっ!こ、これ…私にですか!?」

「はい、今日は映画に誘っていただき、こんな所にもつきあっていただいたお礼…にしてはつまらないものですけど…」

照之さんはそう言って微笑んだ。



「そ、そんな…!
誰も相手がなくて困ってたのは私の方ですし、それにお付き合いしていただいた上に、そんなことしていただいたら困ります。」

「もし、違うものが良いなら、別のものに…」

「そういうわけじゃないんです。
ただ、私はそんなことしていただいたら申し訳なくて……」


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